日高川町内の巨樹・古木

1.「道成寺の槇柏」(令和5年3月7日作成)

(1)所在地:日高川町(旧川辺町)

(2)種類等:槇柏(天然記念物の指定無、幹廻り 4.65m、樹齢 700年)

   

↑ 道成寺の本堂  
 現在の本堂に相当する「堂宇」は正平12年(1357)頃造営されたとの説もあるが、今の建物は天授4年(1378)に再建されたものと言われる。

 この本堂は南側と北側の両面に正面がある珍しい構造で「両面裏無堂」と言われ南正面は通常の正面で北正面は奈良に向かう様に建てられている。
 *かつて、本堂には北面と南面に大きい二体の本尊が安置されていたが、南面の本尊千手観音像は大宝殿に移された。北面に安置されている千手観音像は北向観音と呼ばれ、33年毎に開扉される秘仏として今も本堂に安置されている。

   

↑ 槇柏の遠景       

   

↑ 槇柏の近景

 本堂右手の通路脇の石垣が積まれた所に高さ15mの槇柏は悠然と立っていて、側の駒札には「槇柏 樹齢七百年」と書かれている。

 天然記念物の指定は無いが槇柏特有のねじれと彫の深さは、天然記念物の指定を受けた樹齢400年の槇柏に勝るとも劣らない見事な名木である。

2.「船津の大楠」(令和5年5月3日作成)

(1)所在地:日高川町(旧中津村)船津(くすの木整骨院側)

(2)種類等:クス(町指定天然記念物、幹廻り 7.2m、樹齢 伝700年)

   

↑ 大楠の全景

   

↑しっかりと根を張った大楠の近景

 「船津の大楠」へは、広川町井関から県道21号(広川川辺線)に入り、県道26号(御坊美山線)と交差する平川交差点を左折して、「くすの木整体院」を目指して日高川に沿って進むと左手に「くすの木整体院」の看板がある所で分岐された道を左に進むと直ぐに左手上の山裾に大楠が見える。

   

↑ 大楠の近景と小祠

 この大楠の太さは胸高7.2m、樹高約30mあり、町内では最大のもので、樹齢は、この樹にまつわる伝説から約700年と言われている。

 『徳治年間(1306~1308)、与一という人が蓑を着て狩猟に出たが、何者かに猪に間違われ殺された。そうとは知らない家族たちは三年間捜索を続けたが見つからなかった。そこで祠を建て山神をまつって与一の無事を祈った。するとその傍らから一本のクスノキが芽を出し育ち始めた。それから数年後、加害者が罪の恐ろしさに耐えかねて自白した。遺族たちは殺害現場から白骨と蓑を持ち帰り祠に合祀した。』と語り伝えられている。〈 町教育委員会説明書より抜粋 〉

3.「下阿田木神社のイチョウ」(令和5年11月22日作成)

(1)所在地:日高川町(旧美山村)皆瀬302(下阿田木神社)

(2)種類等:イチョウ(町指定天然記念物、幹廻り 5.5m、樹齢 300年以上)

   

↑ 下阿田木神社鳥居と本殿(正面)

 国道424号を日高に向けて進み白馬トンネルを抜け、坂を下った右手に下阿田木神社がある。

 下阿田木神社は、「愛徳山(あたぎやま)熊野権現縁起」によると天仁二年(1109)の創建と伝えられ郡内指折りの古い神社で、ご祭神は伊弉諾命・伊弉冊命を本殿にお祀り、昔は「下愛徳(しもあたぎ)六所権現」と称え、別当寺「阿弥陀寺」を持つ壮麗な神社であったと云われている。

   

↑ イチョウの全景

   

↑ イチョウの近景:Ⅰ

   

↑ イチョウの近景:Ⅱ

 当神社の境内は結構広く、芝生の広場は手入れが行き届き綺麗に管理されている。

 社殿の右前に樹齢300年以上で高さ26m、幹廻り5.5mのイチョウの巨木が悠然と立っていて、歴史ある下阿田木神社に相応しいご神木は樹勢も旺盛で黄金色に輝く時期にもう一度訪ねて見たい素晴らしい神社である。

 12月4日に再度訪ねたが、残念ながら落葉し一面は黄金色の絨毯の様である。