かつらぎ町の巨樹・古木

1.「十五社(じごせ)の樟樹」(令和5年5月23日作成)

(1)所在地:かつらぎ町笠田東字拾五社(妙楽寺薬師堂)

(2)種類等:クスノキ(県指定天然記念物、幹廻り 13.5m、樹齢 600年以上)

        ↑ 妙楽寺の薬師堂

 かつての妙楽寺には、薬師堂、大日堂と15神を祀る十五社(じごせ)明神が鎮座していたが、明治元年神仏分離令で十五社明神は廃止され、その後明治8年3月18日に妙楽寺の建物を使って寺子屋的な明倫小学校が境内に開校し、現在の笠田小学校へと引き継がれ、妙楽寺には薬師堂だけが残っている。〈 笠田(小)校長先生より 〉

   

 ↑ 樟樹の全景

   

 ↑ 樟樹の近景

 笠田小学校隣の妙楽寺境内に悠然と立っていて、「十五(じごせ)の樟樹」と呼ばれる樹齢600年を越え、幹廻り13.5m、樹高20m、枝張り25mと全国43位、近畿地方では第1位の大樹である。

 支幹が八方に張り、その様が森のように見えることから「十五の森」とも呼ばれている貴重な樟樹であり、大切に守りたいものである。

2.「堀越癪観音のサザンカの老樹」(令和5年6月7日作成)

(1)所在地:かつらぎ町東谷1360(堀越観音)

(2)種類等:サザンカ(県指定天然記念物、幹廻り1.45m、樹齢500~600年)

   

↑本堂とご霊木のイチョウの古木

 671年役行者が母の癪の病となった際に37日間、治癒祈願のため十一面観音菩薩像を彫刻したところ、平癒したことを起源とする。

 天正年間(1573~93)に起きた紀州征伐の際、峯を越えて侵攻した兵によって伽藍は悉く焼失した。

 慶長年間(1595~1615)に再建。当寺は向井家が先祖代々祀っている世襲寺で、ご本尊は十一面観音菩薩である。

 また、当寺の上に観音堂があり、役行者の像を祀っている。「紀伊風土記」には、文治年間(1185~90)に建立されたとあり、歴史ある寺院である。〈 沿革等より 〉

   

 ↑サザンカの老樹全景

   

 ↑サザンカの老樹近景

  境内には、推定樹齢500~600年と云われる高さ約13mのサザンカの老樹があり、幹廻りも1.45mと同種としては珍しい大木で県指定の天然記念物である。

 2013年頃、樹勢が極度に衰えたことがあり、樹木医に幹の空洞部分等を治療して頂いたお陰で老樹ながら今も沢山の花を咲かせています。

3.「滝谷のカヤの巨木」(令和5年7月23日作成)

(1)所在地:かつらぎ町花薗滝谷

(2)種類等:カヤ(町指定天然記念物、幹廻り5.0m、樹齢  約900年以上)

 有田川町から国道480号を高野・花薗に向けて進み、旧花園村へ入ると直ぐに「鳥居橋(赤い橋)」があり、その橋を渡ると直ぐに右折して進むと前方に「カヤの木→800m」と書いた表示板があり、其処を右折して坂道を上っていくと目指す巨木がある。

   

↑ カヤの全景(下手側より)

   

↑ カヤの近景(下手側より)

   

↑ カヤの近景(上手側より)

 急な坂道を上ってくると前方左手に大きなカヤの巨木が目に飛び込んでくる。

 この「カヤの木」は、平安時代(西暦1100年頃)からこの地にあり、推定樹齢は約900年以上で樹高25m、胸高直径1.6m、枝張り約25mと町内の同木では最も太いものであるが、コケ類等他の植物が着生して弱っている様に見えるが、頑張って長生きして欲しいと願って帰路についた。

4.「丹生神社の杉」(令和6年3月29日作成)

(1)所在地:かつらぎ町志賀1223(丹生神社)

(2)種類等:スギ(天然記念物指定無、幹廻り7.15m、樹齢  300年以上)

   

↑ 正面:拝殿 後方:本殿

 丹生神社の由来によれば、創建鎮座は詳らかでないが、丹生都比売命との関りが深く、承元元年(1207)3月の後鳥羽上皇高野山行幸の道案内をした功績によって志賀荘の下司職を賜った佐内彦六が丹生高野明神を勧請したものと伝えられている。

   

↑ 杉の全景

   

↑ 杉の近景

 社殿の両側に杉の木があるが、特に右側の杉は高さ40m、幹廻り7.15mの巨木で樹齢も300年以上と歴史ある丹生神社の神域にあり、此の地を見守り続けた巨木である。

 幹は途中から二本に分かれた巨樹で、永い年月を風雪に耐えて生きてきた巨木を大切に守り続けて頂きたいものである。

5.「カヤの巨木」(令和6年4月4日作成)

(1)所在地:かつらぎ町志賀(峰氏所有)

(2)種類等:カヤ(天然記念物指定無、幹廻り 不明、樹齢  不明)

 志賀小学校の前でお会いした方と丹生神社の杉の巨木の話をした時に『近くにカヤの巨木もあるよ、自宅には高野槇の巨木も有るので見てよ』との事でカヤの巨木から訪ねる事にした。

   

↑ カヤの全景 Ⅰ

   

↑ カヤの全景 Ⅱ

   

↑ カヤの近景 Ⅰ

   

↑ カヤの近景 Ⅱ
 天然記念物の指定は無いが立派なカヤの巨木で、太さや樹齢等詳しい事は不明であるが有田川町下湯川や紀美野町善福寺等のカヤの巨木から推定すると樹齢数百年はある立派な木なので、皆さんに知って頂きたいと思い『和歌山県の巨樹・古木を訪ねて』に掲載した。

 只、カヤの巨木を見る場合は、所有者である峰氏にお声掛けをして了解を得て頂き、無断では入らない様マナーをお守り頂きたい。

6.「高野槇の巨木」(令和6年4月4日作成)

(1)所在地:かつらぎ町志賀(野尻邸)

(2)種類等:高野槇(天然記念物指定無、幹廻り 不明、樹齢  不明)

 丹生神社の杉の巨木とカヤの巨木を訪ねた後、お話を頂いた方(後に野尻さんと判明)のお宅に高野槇の巨木を見せて頂きに伺った。

   

高野槇の全景 Ⅰ

   

高野槇の全景 Ⅱ

   

高野槇の近景 Ⅰ

   

高野槇の近景 Ⅱ

 天然記念物の指定は無く樹齢等も不明だが紀の川市垣内の丹生神社の高野槇(幹廻り2.4m、樹齢300年)と比べても優るとも劣らない存在感のある巨木で、不思議なご縁で高野槇の巨木に出会えたので後世に伝える巨樹として『和歌山県の巨樹・古木を訪ねて』に掲載して広く皆さんに知って頂き、末永く大切に守り続けて頂きたいと願うものである。