1.「捻木の杉」(令和5年3月15日作成)
(2)種類等:スギノキ(市指定天然記念物、幹廻り 6.0m、樹齢 不明)
↑ 市指定天然記念物の「捻木の杉」と「役の行者像」
熊野古道で高山寺から稲葉根王子へ向かう古道の途中、下三栖地区から潮見峠を越えて滝尻王子に至るルート(潮見峠越え)があり、その古道の捻木峠の頂上付近に「捻木の杉」の巨木が立っている。
杉の根元には新旧二体の「役の行者像」と「石仏」がお祀りされている。
↑ 「石仏」と「役の行者像」
お祀りされている新旧二体の役の行者像の間に、「捻木行者歴」の碑があり『平成9年12月盗難 平成14年11月地元有志で新設立 平成23年3月新宮市内で発見帰還する』とある。
又、地域の方々の信仰心が厚く、綺麗なお花が手向けられている。
↑ 市指定天然記念物の「捻木の杉」の近景
捻木の杉は高さ20m、幹廻り6mの大木で悠然と立っていて、古の人々が旅の途中、この下でひと時を過ごした場所だと思うと往時が偲ばれる。
『この捻木の杉があるため、「捻木」または「捻木峠」と言われ、旅人がよく休息した場所です。
昔、奥州の僧安珍を追ってきた清姫が、田辺の会津の橋を渡っている安珍を見て、悔しさのあまり身をよじって杉の木も捻じ曲げてしまい、それがそのまま成長したのがこの木だと言い伝えられています。』〈 捻木説明書より 〉
ここから槇山の山腹を東へ約2km進むと、この潮見越えルート一番の見晴らしポイントの「潮見峠」である。
古の熊野古道に残る伝説の杉の巨木や今なお地域の方に見守られている役の行者像等歴史とロマンが漂う大切な遺産で、是非皆さんも一度訪ねてみては如何ですか。
2.「八幡宮の大杉」(令和5年3月26日作成)
(2)種類等:スギ(市指定天然記念物、幹廻り 8.2m、樹齢 300年以上)
↑ 八幡宮の鳥居と大杉
八幡宮についての記述がないので詳しい事は分からないが、古来より自然崇拝をする風習があり、山深きこの地の方々が大杉の根元に小祠を建てお祀りする様になったのであろう。
只、八幡神は武運の神であり、何故ここに八幡様がお祀りされたのか?。
大塔村には「大塔宮護良親王」ゆかりの侍臣・平賀三郎終焉の場所等歴史に残る史跡があることから、この八幡宮も歴史的文化遺産のロマンが偲ばれる。
↑ 大杉の全景
↑ 大杉の近景と小祠
初めてこの大杉を訪ねたのが、令和4年9月だったが八幡宮周辺は背丈以上に伸びた雑草で、見つけることができなかったが12月8日に訪ねると雑草は綺麗に刈り取られ道路から鳥居が見え、その向こうに大杉がはっきりと見えた。
近づくと大杉の根元に小さな祠がお祀りされ、八幡様をお守りするかの様に悠然と立つ神々しい姿にやっと逢うことができた。
大杉は高さ23メートル、幹周8.2メートルで途中から幹は二つに分かれ、それぞれ4.35メートル、3.64メートルもあり樹齢は300年以上と云われご神木として八幡宮は勿論、此の地域の方々を見守り続けている。
*「八幡宮の大杉」の場所を見つけるに、田辺市冨里支所の職員さんにお聞きしたり、近くに住むおばあさんに十数メートル離れた登り口まで案内をして頂いたり大勢の皆様方の親切のお陰でやっと大杉に出逢える事ができました。
3.「三豊神社の大杉」(令和5年4月19日作成)
(2)種類等:スギ(市指定天然記念物、幹廻り 5.7m、樹齢 推定300年)
↑ 三豊神社の全景
↑ 三豊神社の本殿
江戸時代は、四社明神社と云われ面川の産土神。明治元年に春日神社と改称され同6年4月村社に列せられる。
同10年9月、村内の小社合祀奨励ににより5社を合祀し、さらに同41年3月の一村一社の神社合祀令に基づき、三川、豊原両村内の神社(合川の三条神社、古屋の矢倉神社、佐田の牛頭神社他)33社を合祀し、社名を三豊神社と改称した。〈 三豊神社の由来より 〉
↑ 左:双幹の杉全景 右:大杉の全景
↑ 手前:大杉の近景 奥側:双幹の杉の近景
境内には、多くの杉の大木があり、その中に市指定天然記念物の樹高45m、幹周5.7mもある大杉は三豊神社のご神木である。
又、其々が3.97m・3.70mの双幹の杉等があり、何れも樹齢は約300年を過ぎていると推定される。
社叢を形成する樹木の中でも際立った存在で、ご神木として古くから地域の住民によって大切に守られている。〈 大杉の説明書より 〉
4.「唐楠(タブノキ)の古木」(令和5年5月3日作成)
(2)種類等:タブノキ(市指定天然記念物、幹廻り 6.43m、樹齢 約250年)
↑ 唐楠の古木全景(上手より)
「唐楠の古木」へのルートは、R311号から県道219号(下川上牟婁線)に入り、内の井川に沿って進み田辺市役所冨里連絡所を過ぎると「下川上」への道路標識があり、標識に従って右折(橋)すると唐楠の古木が道路右手に見えてくる。
↑ 唐楠の古木近景(上手より)
↑ 唐楠の古木近景(下手より)
道路標識に従って下川上地区に向って日置川を渡ると直ぐに右手の橋のたもとに2幹に分かれた大塔村指定の「唐楠(タブノキ)の古木」が悠然と立っている。
古木の根元には、昭和51年12月20日指定の石柱があり、「大塔村指定文化財」、「唐楠(タブノキ)」と刻まれている。
樹齢約250年の古木は、高さ12m、幹廻り6.43mの見事な巨木である。
*タブノキが唐楠と呼ばれる理由?
中国では、タブノキを漢字では「楠」とかきます。日本ではクスノキを漢字で書く場合は「樟」と書くことから、唐楠はタブノキと呼ばれる。
〈 小杉波留夫氏著 東アジア植物記より 〉
5.「法恩寺のソテツ」(令和5年11月8日作成)
(1)所在地:田辺市下三栖1424(臨済宗妙心寺派 法恩寺)
(2)種類等:ソテツ(天然記念物指定無、幹廻り 7.69m、樹齢 350年)
↑ 法恩寺の全景
↑ 法恩寺の本堂
平安中期、一条天皇の時代に尾張の国熱田に定尊法師という高僧がいて、一夜、善光寺如来が現れ「我が像を七体造り諸国に安置するように」とお告げがあり、その内の一体を無双の霊地熊野の入口であるこの三栖の郷に、浄覚山法恩寺を建立し泰安したと伝えられていて、紀南各地から紀州の善光寺さん、南海道善光寺、三栖の如来さんとして宗派を超えて多くの信者を得、殊に牛馬の守り仏として広く信仰されてきました。
境内には二株のソテツの巨木が植えられていて、正面の一株は高さ7m、樹齢350年の日本一のソテツと云われている。
↑ ソテツの全景
↑ ソテツの近景
本堂正面のソテツは、幹廻り7.69mと立派なソテツで、見る人を圧倒する巨樹で紀州の善光寺さんと云われる古刹の霊木に相応しいソテツの巨樹で、自立するのが困難なのか、倒れないように丸太で支え保護されている。
由緒ある法恩寺の歴史と景観や地域の人々を見守ってきたソテツの巨樹は、此れからも地域の人々に見守られ末永く、由緒ある当寺院や地域の景観と共に守り続けて頂ける事を心から願うばかりである。
6.「住吉神社の大杉」(令和5年11月9日作成)
(2)種類等:スギノキ(市指定天然記念物、幹廻り 5.7m、樹齢 700年以上)
↑ 住吉神社の全景
↑ 社殿
滝尻方面から本宮に向けてR311号を進むと龍神バスの「紀伊中川」バス停付近で左折してR371号に入り直進、二川トンネルを過ぎると左カーブの所に「小松原方面直進」の標識があり、小さな橋を渡り中川に沿って進むと小松原集落に入ると直ぐに道路右下に森があり、其処が住吉神社である。
住吉神社勧請の年代は詳らかでないが、江戸時代には社名を「住吉大明神」と云い、明治元年に住吉神社と改め、明治6年4月に村社になった歴史を持つ神社である。
↑ 大杉の全景
↑ 大杉の近景
社殿を守る様に五本の大杉が立っていて、高さが43mもある。特に社殿正面の二本は幹廻り5.7mと住吉神社の歴史を物語るご神木に相応しい樹齢700年以上の巨樹である。
境内には杉以外の巨木が残り、創建時は広大な鎮守の杜であったと思われる貴重な遺産である。
これからも後世に語り継いでいきたい大切な文化財である。